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定年退職後ロンドンで始めた学生生活の日記

二十歳頃に計画しながら実現には至らなかった海外暮らしの夢を、長い会社員生活を終えた後ついに実行に移しました。行先は、本場の英語をもう一度学び直したかったこと、勉強以外にも滞在生活を楽しめる要素に満ちあふれていることなどからロンドンを選び、2009年4月23日から2010年3月25日までほぼ11ヵ月間滞在しました。従ってこの日記はちょうど2年前の出来事をあたかも現在進行形のように書いているものです。

2009年6月3日(水) ♫ノルウェーの森

6時30分起床。快晴一時曇り。

今日のランチはパスタとガーリックブレッド。3.35ポンド(約500円)。
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そして、期待していたランチタイムレクチャーがやっと始まった。

4月から参加している本学(University of Westminster)の留学生向けコースのカリキュラムの中で特筆すべきものに、EFL Cultural Programme(カルチュラルプログラム)という木曜日と土曜日(または日曜日)に実施されるウォーキングツアーおよびウィークデーの毎日午後1~2時に開催されるレクチャーがある。いずれも参加費は無料(ツアーは行先によっては交通費、入場料等の実費が必要な場合もある)で、留学生なら誰でも参加できる。

どちらかと言えば正規の授業の"おまけ"のような扱いになっているものの、その充実ぶりは期待をはるかに超えている、と言っても過言ではない。

予定表を見てぜひ受けたいと思っていたものの一つが、5~6月の毎水曜日に5回シリーズで行われる"The Great English Pop Song"というレクチャーである。ところが、5月13日の第1回から同27日の第3回までずっとキャンセル続きだったのである。その理由は講師が父親になる(なった)ため!ということだった。そう言えば前首相のTony Blair(トニー ブレア)でさえ現役の首相時代に三男誕生に際して一時休暇を取っていたことがあった国だから・・・。

それが今日やっとスタートしたのだ。講師は午前の授業で使用しているテキストブックの著者の一人であり、本学で英語の授業および教師を対象とした英語教授法を担当しているHUGH。

実際には彼が生まれる前の話だが、ロンドンでまったく新しいさまざまな若者文化が誕生し始めた奇跡の1960年代、その時代を代表する詩人の一人であるPhilip Larkinの"Annus Mirabilis"とThe Beatlesの"Norwegian Wood"(ノルウェーの森)が今日の講義の題材。

前者は1967年、後者は1965年の発表なので順序は逆になるが、前者の詩には「チャタレイ夫人の恋人」(無修正版刊行)とビートルズの初LP発売のことが年代の表記代わりに挙げられている。「ノルウェーの森」の方は高校生の頃からそれこそ何百回、何千回と聞いている名曲である。そもそも外国語のポピュラーソングを聞くときに完全に正確に歌詞の意味を理解して聞くなんてことはまずなくて、LPやCDに添付されている訳詩をざっと見ながら、どちらかと言えば曲全体の雰囲気に浸っていることが多い。

レクチャータイトルが...English Pop Songなので、前者は時代背景の説明として用いられたのに対して、ビートルズはまさにその本来の題材として実際にCDで曲を聴き、歌詞の聞き取り(歌詞カードの空白部分を埋める)まであって、無料とは言えさすが大学の講義である。

たいへん深く心に残ったのは、前からおおざっぱには知っていたつもりの歌詞を一語一語解析して行く作業であった。長さ2分余りの、わずか115ワード程度の短い曲にも関わらず、そこには作詞したJohn Lennon(作曲はPaul McCartney)が選び抜いた言葉の世界が見事に凝縮されていて、George Harrisonの奏でるシタールの音色とかが相まって非常に不思議な、しかしこの上もない美しい名曲に仕上がっているのだ、ということに改めて、いや初めて気付かされた次第である。

これこそ秋からの学部授業でぜひ選択したいテーマの一つなのだ、ということが明らかになった。という意味でも印象に残るレクチャーであった。
今日始ったばかりなのに来週は最終回だなんて受け入れ難い、が仕方ない。どちらかと言えば晩婚の彼が初めて父親になるという時期にたまたま来合わせたのが不運だったのだから。

夕食用の食料が無くなったので、帰りにMarks & Spencerでまとめ買い。21.93ポンド(約3,200円)。
その中からスパゲティミートボール(レンジ加熱)とサラダで夕食=写真なし。

23時35分就寝。
  1. 2011/06/03(金) 14:49:12|
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Author:oldstudentinlondon
高校時代は生物研究クラブ、大学は理学部生物学科、社会人生活は製薬会社と臨床検査会社、という具合にずっと生命科学の世界にどっぷり浸りきっていたのですが、定年退職が近づくにつれて、これまでとはまったく異なる分野のことを少しでも知りたいと考え、英語、英国文化、芸術等について学ぶことを目的にシニア留学に踏み切りました。
結果として期待以上に充実した時間を送ることができました。真っ先に挙げられるのは、これまでおよそ話す機会もなかったような若い世代の友人達と親しくつき合えたこと、そしてこれまでマスコミ等を通じて間接的にしか知り得なかった国々から来た学生達と話すことを通じてそれらの国に対する自分のイメージが大きく変わったこと、です。やはり海外に住んで改めて日本を見直すということは、年齢に関わりなく極めて意味深いものだと実感しました。
なお、記事中の人名は、知人については本人の承諾を得た場合を除いて仮名を用いています。政治家、アーティスト等広く一般に知られている人については原則として実名を用いています。

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