7時起床。今日も快晴。
初夏の朝の空は素晴らしい。気持ちが晴れ晴れする。裏の公園の大木も青空をバックに若葉に包まれている。

裏庭には洗濯物。

英国人は花を育てるのが好きだ。

野鳥も自由に庭にやってくる。

今日は毎日バスでその前を通過している気になる建物へ行ってみることにした。
それは地下鉄Euston Square Station(ユーストンスクエア駅)のすぐ近くにあるWellcome Museum(ウェルカム博物館)である。


"Welcome"という単語は日本語の"ようこそ"に相当するが、ここは"Wellcome"とエルが二つである。
だから別に歓迎の意を表しているのではなく、19世紀に設立された製薬企業の創業者Sir Henry Wellcomeの名を冠した博物館なのである。つまりWellcomeとは創業者のFamily Nameなのだ。
医薬品の錠剤化や抗ウイルス薬の初製品化など製薬事業で大きな成功を収めたWellcomeが残した莫大な財産を管理する目的で作られた"Wellcome Trust"は、その後製薬事業部門を同業のGlaxoに売却し、現在は生命科学や健康に関する学術研究に対する資金援助を主たる事業とする公益法人である。
そしてこの博物館では医学・薬学に関する蔵書、貴重な物品のコレクションが無料で公開されているのだ。
1944年にヒトの遺伝子の本体がDNAであることが証明され、そのDNAが二重ラセン構造であることは昨日訪問したケンブリッジ大学の研究グループによって1953年に解明された。さらにそれからちょうど50年後となる2003年には、約13年間におよぶ国際研究プロジェクトの成果として、全部で30億対におよぶヒトDNAの全塩基配列(ゲノム)が解読された。
そのプロジェクトの最大のスポンサーの一つが他ならぬこのWellcome Trustなのであった。研究チームとしては米国ではNIH(国立衛生研究所)、英国ではWellcome Trust Sanger Institute(サンガー研究所)がその主役だったのだ。
本で読んだり学会のシンポジウムで直接本人の話を聞いたことがあるが、実はこのプロジェクトの基本的アイデア、即ちロボットを用いてヒトゲノムの全塩基配列を解析するというプランは日本の研究者が初めて考え出したものである。しかし具体的利益の見込めない基礎科学への予算化に極めて消極的な日本政府や関連企業がその推進に後ろ向きだったがために、結局参加メンバー国として第三位の貢献に止まらざるを得なかったのは本当に残念なことだった(理研および慶応大学の研究チームが顕著な成果を挙げ辛うじて日本の面子を保ったとは言え、米英に比して全体としての貢献度は10%にも満たない)。
ともあれ、その成功に触発されて今では依頼者のDNAを解析して家系のルーツを調べたり、親子鑑定、病気のリスク診断といった遺伝子検査ビジネスも広く行われるようになっている。(実は、会社員生活の最後の10年間ほどを、ある種のがんに関わる遺伝子の日本人における基礎データ収集共同研究に携わったことからたいへん思い入れのある分野である)。
では展示品をいくつか・・・
サンガー研究所で実際に使用されたヒトDNA配列解読作業に必要な細菌コロニー採取機器(ヒトDNAを断片化して細菌に組み込み解析に必要な量にまで増やしていたのだ)。


最終的にすべて解析されたDNAの塩基配列が本の形で展示されている。

ページを拡大すると・・・

22本プラスX、Yの染色体別にそれぞれ数冊にまとめて書庫に並べてある。これだけの生命に関する基本情報が細胞一つ一つ(の核の中に)収まっているかと思うと・・・いかにすごいことかが 実感としてわかる!

DNA解析による家系調査のパンフレット

その解析結果報告書


博物館・美術館等のカフェで食事するのが(というか雰囲気が)大好きなので、ここでも軽いランチを、ということで!
本日のスープとパンで4.5ポンド(約650円)。

夕食はPiccadilly CircusからすぐのチャイナタウンにあるWong Kei(旺記大酒家)というレストランで。フォー炒めと豆腐野菜煮付で10.2ポンド(約1,500円)=料理写真なし。

前を歩いている外人(英国人か米国人かそれ以外か、確かめていないのでわからないが)、こういうのは字の意味をわかって着ているのかしら?漢字がかっこ良いだけなのか、いや多分わかっているのだろうな。それを見せびらかす偽悪趣味または謙虚さ!うーん、そこまで深くはないかも・・・。

19時45分帰宅。23時30分就寝。
- 2011/05/24(火) 16:05:35|
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