長い長い旅から一夜明けてロンドンの朝が来た。昨夜着いた時は既に夜だったので、家の周辺の様子もよくわからなかったのだが、とにかく静かである。23時にベッドについてから朝6時まで熟睡し、小鳥の鳴き声とともに起きる。いや、起きようと思った時に頭の中で軽快な音楽が響いている。
誰が歌っているのかは何しろ15歳の頃から聞き続けているのですぐにわかったのだが、曲名を一瞬考えた。が、考えるより前に歌詞の方が自然に口をついて出た。それは"We can work it out!"であった。
ビートルズファンなら誰でも知っていると思われる名曲の一つであるが、今までビートルズソングの中で格別な思い入れがあった曲ではないのに、他でもないこれが自然に出て来たことにちょっとびっくりした。まさに今の気持ちにぴったりではないか("きっとうまくやれるさ")。
まるで作り話みたいだが、以上は紛れもない真実の経験、まるで頭の中にジュークボックス(若者にはわからないかな)があるみたい!

さて、昨夜はまだスーツケースをそのままにしていたので、まず着替えやその他の持ち物を部屋据え付けの家具にとりあえず収納した。あまり時間的余裕がないので朝食を済ませて出発。

出かける前に教えてもらったところ、地下鉄の最寄り駅まで道なりに歩いて5分くらい、ということなので周辺の写真を撮りながら駅へ向かう。

長屋のように同じ形の家が何軒か連なったテラスハウスが並ぶ、なかなか落ち着いた感じの地区のようである。
地下鉄のTufnell Park(タフネルパーク)駅はノーザンラインのゾーン2にあって、ウェストミンスター大学のあるOxford Circus(オックスフォードサーカス)へはTottenham Court Road(トッテナムコートロード)でセントラルラインに乗り換える。

実は今年2月初めにパリに来る用事があって、その際にユーロスターでロンドンまで来て大学の場所を下見した。
ところがである。初登校の今日は何を勘違いしたのか、オックスフォードサーカスで降りれば良いところを、そこで何故かまたベーカールーラインに乗り換えて一駅先のRegent Park(リージェントパーク)に着いたのだ。地上に上がって見回してみたが、どちらへ向かって行けば良いのか皆目分からない。ほとんど当てずっぽうに2、3分くらい歩いたところで、これはどう考えてもおかしいと思い、電話で確認することにした。
日本を発つ前に携帯(au)を国際ローミングサービス対応の機種に変えて来たので、早速ICCオフィス(後述)へ電話したところ、マネージャーの深野さんが出られて一駅戻って下さい、ということだったので、直ちにバックする。今朝タフネルパーク駅でワンデートラベルカードというのを買って来たので乗降には1と2のゾーン内であれば制限なし。ちなみに、オックスフォードサーカスもリージェントパークもゾーン1である。
結局約束の9時15分には到着できず9時30分にやっと着いた。何はさておき4~6月のクラス分けのための英語レベルチェックテストを受けなければならないので、EFL(English as a Foreign Language:英語を母国語としない学生のための)プログラム担当マネージャーのオフィスへ急ぐ。
想定外のビザの遅れがなければ先週の金曜日(17日)に4月入学生のためのオリエンテーションがあり、そのときにこのテストを受け、いろんな説明も受けるはずだったのだが、今日は一人だけなのでスタートの感想を抱く余裕もない。レベルはUpper Intermediate(中級の上、即ち上級と中級の中間)に決まり、教室番号と先生の名前を書いた書類をもらい、今からそこへ行けということだった。
授業は毎日朝8時45分から12時00分で、だいたい一度休憩時間が入るとのことで、恐らく今行けば教室に誰もいないと思われるが、皆が戻って来るのを待って、先生に書類を渡すように言われた。

教室番号を頼りに何とかたどり着いたが、確かに机の上にノートなど物だけ置いてあって人の姿は見えない。手持ち無沙汰に待つことしばし、話声とともに学生達が戻って来た。ホワイトボードに書かれた名前一覧を見ると合計16名のうち6名が日本人だが、その一人が声をかけてくれた。名前をTAKASHIという。さらに先生が入って来られた。そのMARY先生に書類を渡して挨拶すると、特別に遅れた理由を聞かれることもなく授業が始まった。どうやらテキストブックを使ってさまざまな日常生活のシーンに沿った英会話の練習をするようである。当然テキストは持っていないが、隣の席の中国人の生徒が親切に見せてくれた。文章やイラスト、写真を見て英語特有の言い回しを習ったり、自分の考えをクラス全員で、あるいは隣席の生徒と対になって話す、という進め方でまだ自分の英語表現能力が至って限定的であることを思い知らされる。今日は半分(授業の後半)だけだったのであっという間に終わり、ではまた来週、ということになった。
しかし、新入りの学生(私)にいろいろと世話を焼いてくれる生徒がいて、毎日の授業が行われる教室番号や先生の名前等を教えてもらってメモする(これは後日とても役に立った)。常に決まった教室ではなく日替わりで建物と教室が変わるようなので、はるか昔の中学生の頃の移動教室(ベビーブーム世代の人ならわかるかな!)を思い出す。
またTAKASHIから、これからランチに行くので行かない?と誘われ、ついて行くことに・・・。
古い建物だけど、地下に食堂があってカフェテリア方式でランチが供される。一見バイキングみたいだが、料理を自分で取るのではなく、今日のメニューからメインを一品選び、いくつかの付け合わせといっしょに一皿に盛ってもらう対面形式である。トレイに皿を乗せてレジカウンターで支払う。ミネラルウォーターと合わせて4.65ポンドだった(換算すると700円弱かな)。席は丸テーブルが7、8台あり、それぞれに椅子が5、6脚。日本と違って空いたテーブルに一人で座るのではなく、知り合いかそうでないかに関係なく既に誰かが座っているところにやって来て挨拶し、いろいろ話をしながら食べる人がほとんど(社交的!)。こうして最初のランチは同クラスの何人かとともにしたのだが、その後三々五々やってくる(私にとっては)まったく見知らぬ生徒達と皆お互いに挨拶を交わしている。その都度紹介されたものの同クラスの生徒名もまだなのに一人一人覚えられる訳がない。でも多分相手は一度で覚えてくれると思う。なぜって一人だけ年齢が大きく異なるので目立つだろうから。
木曜と金曜は午後の授業がないので、これで帰宅かと思ったらそうではなかった。13時からカルチャークラスがあるので行かないか?と誘われ、これも成り行きで従うことに・・・。
今日は英国の詩についての講義のようで、午前の授業に比べると講師の英語も特徴があって聞き取りにくいし、食後だったこともあって失礼と思いつつ眠気には勝てない。
その後、皆と別れを告げて、ICC(今回利用した日本の留学エージェントで当大学や米国の大学と提携し毎年4月と9月に学生を送り込んでいる)ロンドンオフィスにもう一度立ち寄り、今日の授業の概要やクラスメートと仲良くいけそうだ(まさにWe can work it out!)とマネージャーの深野さんに報告する。ついでにパジャマやスリッパなどの日用品を買いたいのでどこへ行けば良いか尋ねると、近くにジョンルイスというデパートがあるのでそこで見てみれば、と教えられる。
しばらくして他の生徒がやってきたので入れ替わるように辞去し、(日用品の買物は明日にして)リージェントストリートをぶらぶら歩き、ピカデリーサーカス(地下鉄だと一駅隣)にあるジャパンセンターに行ってみた。これまで旅行でロンドンに来ても一度も行ったことはなかった。しかし行ってみると、規模こそ小さいがまったく日本のスーパーみたいなもので何でもそろっているではないか?米、しょう油、日本酒、インスタントラーメンからご飯茶わん、湯のみ、タワシ、おろし金、日本の本や雑誌まで。もちろん値札はポンドだけれど。で、茶わん、レトルトのおかゆ、梅干を買った。何か日本語の無料の情報誌も2、3種類置いてあったのでもらって来た。
ホームステイは朝食込み、夕食なしなので、今日は2月にロンドンに来たときにたまたま通りすがりに入って気に入ったキングスクロス駅の向かい側にある"chop chop"という中華の安食堂に行く。料理の名前はよくわからないが、写真入メニューから番号で注文する形式のため簡単である。辛いけど美味しいヌードル(日本で食べるラーメンより細麺)とミネラル水で本日の夕食とする。5ポンド(750円くらい)。


無事初日を終え、タフネルパーク駅前のスーパー(英国に多く見られる個人経営の商店)でミネラル水とティッシュペーパーを買って帰る。

18時30分帰宅。帰るとホストマザーがミルクティーを入れてくれて、それをダイニングキッチンで一緒に飲みながら今日一日のできごとを質問される。これは外国人学生に部屋を貸しているので、英語の習得に少しでも協力しようという気持ちでやっていてくれているようでありがたい。明日は土曜日で休みなので、何か予定しているかと聞かれたので、ポートベロマーケットに行くつもりだと答える。ここから近いところにハムステッドヒースという良い公園があるので行ってみたら、と勧められる。
といったところで、今日は予定終了。明日の買物リストを作り、PCでいくつかメールを送受信した後、シャワーを浴び21時頃寝る。
- 2011/04/24(日) 15:44:13|
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