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定年退職後ロンドンで始めた学生生活の日記

二十歳頃に計画しながら実現には至らなかった海外暮らしの夢を、長い会社員生活を終えた後ついに実行に移しました。行先は、本場の英語をもう一度学び直したかったこと、勉強以外にも滞在生活を楽しめる要素に満ちあふれていることなどからロンドンを選び、2009年4月23日から2010年3月25日までほぼ11ヵ月間滞在しました。従ってこの日記はちょうど2年前の出来事をあたかも現在進行形のように書いているものです。

2010年3月26日(金) 東京に着いた

<昨日ヒースローを後にしたところでこのロンドン滞在日記は終了としても良かったのですが、旅というものは無事に元の家に帰ってきて初めて完了するものだと考え直し、明日3月27日まで続けることにします。>


最近10年間は毎年海外出張で国際線の飛行機にはよく乗った。しかし昨年4月に成田からロンドンへ飛行して以来、アイルランドとドイツへ短距離飛行をした以外は長い飛行時間を一度も経験しない久しぶりの1年になった。

勇んで日本を飛び出す直前のビザ(Entry Clearance)トラブルで出発の延期と予約便のキャンセルを余儀なくされ、もし再び同じことが起きても損失を被らないように、エコノミークラスのちょっと上のエコノミーエクストラのフレキシブルというチケットを購入しておいたおかげで席は楽だし、手荷物の許容重量が30kgまでに増えたため追加料金もかからず結果的には良かったと思う。

機内の朝食
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オムレツ、ソーセージ、ハッシュブラウン、ヨーグルト、パン、ジュース、コーヒー。まあ普通に美味しかった。

午前10時34分、定刻より少し早く成田空港に着陸。11時20分には入国手続完了。今日は東京に1泊するので、不要な荷物=スーツケース二つをヤマト便で自宅に送る(2個で3,480円)。配達指定時間は明日の18時~20時。これだけ狭い時間帯指定に対応してくれるのは世界中で日本の会社にしか成し得ない、と思う。

26日のランチ
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1年間母国を離れていた後で何を最初に食べるかが問題だが、実はすんなり決まった。稲庭うどんと天ぷらのセットである。座ったままの長距離フライトで疲れているときは食べ易さという点で麺類が良いのだ。しかし麺類だけではちょっと物足りないので天ぷらを補足するというのは完璧な組み合わせだと思う。

食後、成田エクスプレスでいよいよ東京へ。14時14分に到着して大手町まで歩き、京王プレッソインというビジネスホテルにチェックイン。しかしチェックイン受付開始はまだだったので、荷物を預けて外出。

東京の街を歩いていて懐かしさとか違和感とかがあるだろうか?いや不思議なことにそれはまったくない。昨日ロンドンの街を歩いていて、今日は東京を歩く、その間に何らのギャップもない、と言うか空間を隔てている感覚を感じないのだ。これには我ながら驚いたが、実際にそうだったのだ。自分の中で地球が小さくなってしまった、のかも知れない。

今夜は帰国日をこの日にした最大の理由であるBob Dylanのコンサートを観に行く。会場はZepp Tokyoなので新橋から”ゆりかもめ”に乗って青海まで。

The BeatlesやMiles Davis等もそうであったように、常に過去の成功遺産にこだわることなく変わり続け得るミュージシャンと言うのは本当の才能と自信に裏付けされたごく少数の天才に限られると思うが、Bob Dylanも間違いなくそのうちの一人であり、1960年代から1970年のヒット曲は封印して新作や比較的新しい曲だけで構成することによって最近聴き始めたような若年層にも受け入れられる、ということになるのだ。もちろんその逆に古いヒット曲を期待するオールドファンには不満足と感じる人もあるだろうが、あえてそれを乗り越えてやり通してしまうところが凄いと思う。

1978年の初来日時に感じた真のカリスマを目の当たりにしているという印象は今も変わらず、孤高の存在というイメージがいささかも色あせないところはさすがである。過去のヒット曲を決してやらないわけではない。ただMCもなく、完全にアレンジを変えた形でさりげなく始めているため、聴衆がなかなか気が付かないだけである。

聴衆の年齢層ががかなり広いところも驚いた点である。1960年代とか1970年代に名を上げたミュージシャンの再来日コンサートだと、聴衆も同じように年を重ねたと一目でわかるような、一種の同窓会のような雰囲気になることが少なくないが、Bob Dylanの場合は本人は年を取ったにもかかわらず聴衆には現在の若者も多く混じっている、という何かアンバランスさがある。それでも文字通り老若男女が一堂に集まって一人の演奏(もちろんバックバンドはいるのだが)を同じように楽しめると言うのは希有の存在のみに成し得ることかも知れない。

2時間ほどぶっ通しで歌い続けたと思ったら、さっと終わってしまうところも相変わらずであった。残念ながらロンドンとは違ってカメラの持ち込みは厳格に禁止されているため1枚も撮れなかったが、本当に立錐の余地もなく満員(オールスタンディング)で、背の高い方が圧倒的優位だと感じるのはこういうときである。

帰りの”ゆりかもめ”は混みそうだったので、臨海線・京葉線で東京に戻り、まだ開いていた地下街の天ぷら屋で天丼を食べる。昼も夜も天ぷらとはどうも美味しい天ぷらに飢えていたのかも知れない。

携帯メールで従兄弟に明日会う確認をして寝る。特に困難もなく眠ることができたのは時差調節がうまくいったことと、コンサートが立見だったため自覚はないが結構疲れたのかも知れない。


1時30分就寝。
  1. 2012/03/26(月) 23:24:40|
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Author:oldstudentinlondon
高校時代は生物研究クラブ、大学は理学部生物学科、社会人生活は製薬会社と臨床検査会社、という具合にずっと生命科学の世界にどっぷり浸りきっていたのですが、定年退職が近づくにつれて、これまでとはまったく異なる分野のことを少しでも知りたいと考え、英語、英国文化、芸術等について学ぶことを目的にシニア留学に踏み切りました。
結果として期待以上に充実した時間を送ることができました。真っ先に挙げられるのは、これまでおよそ話す機会もなかったような若い世代の友人達と親しくつき合えたこと、そしてこれまでマスコミ等を通じて間接的にしか知り得なかった国々から来た学生達と話すことを通じてそれらの国に対する自分のイメージが大きく変わったこと、です。やはり海外に住んで改めて日本を見直すということは、年齢に関わりなく極めて意味深いものだと実感しました。
なお、記事中の人名は、知人については本人の承諾を得た場合を除いて仮名を用いています。政治家、アーティスト等広く一般に知られている人については原則として実名を用いています。

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