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定年退職後ロンドンで始めた学生生活の日記

二十歳頃に計画しながら実現には至らなかった海外暮らしの夢を、長い会社員生活を終えた後ついに実行に移しました。行先は、本場の英語をもう一度学び直したかったこと、勉強以外にも滞在生活を楽しめる要素に満ちあふれていることなどからロンドンを選び、2009年4月23日から2010年3月25日までほぼ11ヵ月間滞在しました。従ってこの日記はちょうど2年前の出来事をあたかも現在進行形のように書いているものです。

2009年12月2日(水) ショック体験!

8時00分起床。曇のち晴のち曇のち雨。気温11~6℃。

午前の"Tourism Planning"はもう受けないことに決めたので、昼頃まではひたすらPCの画面とにらめっこして過ごす。

ランチはレトルトカレー
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午後は14時からSpeaking Skillsに出席。いつものように講師のHUGHと学生のやり取りの合間に学生同士の対話学習もはさまれる。そんなひとときだった。何人かのパートナーと順に入れ代わりながら恥ずかしい思いをした経験について対話をしている際に、ロシア人のMARINAが"islandsを不法に占拠していることは国の恥である"と言ったのだ。一瞬何のことかわからなかったが、すぐに北方領土のことを言っているのだと気付いた。これには思わず絶句するほど驚いた。まったく想定していなかったので返す言葉が見つからなかったのだ。気を取り直して4島のことかと聞き返すと、そう、国際法上問題があるのだと言う。

それはこれまで7ヵ月間に耳にしたあらゆる言葉の中で自分には最高度に衝撃的なものだったと言える。せっかく貴重な異文化体験をして来たつもりだったのに、どうもまだ国と国民の違いというものが真にわかっていなかったのだ、と思い知らされた感じがする。

第二次世界対戦(太平洋戦争)の経験者であるわが親の世代には嫌ロシア性が色濃く残っていたように思う。そのせいか自分でも何となくあまり好感を持てない国の一つになっていたのだが、考えてみれば確かに国の対外政策に国民全員が一致して同じ考えであるはずもないし、MARINAは現役の学生ではなく社会人で弁護士でもあるので法律に照らして客観的に判断しているのだろうが、そもそもそういう考えの人がいるとは今まで具体的に想像したことさえなかったのだ。

もちろんロシアでこういう認識の人が多数派であるとはとても思えないが、彼女一人だけということもないだろう。国というものを一塊(の個性)で考えることは間違いなのだ、と教えてもらった気がする。ロシアだけでなく4月からの初めてのクラスで共に学んだ中国や韓国の学生達もそうだが、日本に居てTVや新聞で日常的に報道されるネガティブな情報が決してすべてではないのだ、とわかっただけでも留学生活の財産になったと言っても過言ではない。それはもちろん相手にとっても同じだと思う。

近年日本の学生の海外留学志望者が減ったと聞くが、やはり座して活字やインターネットで学べることと実際に海外に身を置いて初めて得られる経験とは根本的に違うのだ、と理解して欲しいものだ。海外でいろんな国の学生と直接会話を通じてその国を理解する(理解までには至らなくても知る)ことがどれだけ大きな価値を持つことか、できれば可能な限り全学生に体験してもらいたい、と思う。

今日はただもうそれがすべてだった。

夕食はこの前買った餃子とサラダ(リンゴを加えてみた)
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23時45分就寝。
  1. 2011/12/02(金) 23:41:28|
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Author:oldstudentinlondon
高校時代は生物研究クラブ、大学は理学部生物学科、社会人生活は製薬会社と臨床検査会社、という具合にずっと生命科学の世界にどっぷり浸りきっていたのですが、定年退職が近づくにつれて、これまでとはまったく異なる分野のことを少しでも知りたいと考え、英語、英国文化、芸術等について学ぶことを目的にシニア留学に踏み切りました。
結果として期待以上に充実した時間を送ることができました。真っ先に挙げられるのは、これまでおよそ話す機会もなかったような若い世代の友人達と親しくつき合えたこと、そしてこれまでマスコミ等を通じて間接的にしか知り得なかった国々から来た学生達と話すことを通じてそれらの国に対する自分のイメージが大きく変わったこと、です。やはり海外に住んで改めて日本を見直すということは、年齢に関わりなく極めて意味深いものだと実感しました。
なお、記事中の人名は、知人については本人の承諾を得た場合を除いて仮名を用いています。政治家、アーティスト等広く一般に知られている人については原則として実名を用いています。

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