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定年退職後ロンドンで始めた学生生活の日記

二十歳頃に計画しながら実現には至らなかった海外暮らしの夢を、長い会社員生活を終えた後ついに実行に移しました。行先は、本場の英語をもう一度学び直したかったこと、勉強以外にも滞在生活を楽しめる要素に満ちあふれていることなどからロンドンを選び、2009年4月23日から2010年3月25日までほぼ11ヵ月間滞在しました。従ってこの日記はちょうど2年前の出来事をあたかも現在進行形のように書いているものです。

2009年11月29日(日) スティーライ・スパン

7時35分起床。曇ときどき雨。気温8~6℃。

昨夜の余韻に浸る間もなく部屋の掃除。特にいろいろ食べ物や飲み物のこぼれた床掃除が大切。本当にこれは1ヵ月に一度、大掃除の良い機会である。

昼過ぎに外を見ると二重の虹が出ていた これは良いことの前兆なのかそれとも・・・?
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今日は8月以来となるオックスフォード行きを予定。とはいえ、今回は夜、しかもコンサートを見るためだけにだ。

かれこれ40年余前に日本にも東京を中心に、多くはないがブリティッシュフォークの熱狂的ファンが居た。それは同時にFM放送(ラジオ)が全盛期を迎えていた頃で、FM大阪のそういった特集で聴いたのをきっかけにさまざまなバンドを知ることになった。

その中で圧倒的な存在感を持っていたFairport Convention(フェアポート・コンベンション)、それと並んでトラッド曲をロックバンドのような楽器構成とアレンジで演じるバンド(フォークロックまたはエレクトリックフォークと言われた)がSteeleye Span(スティーライ・スパン)だ。いや、Fairport Conventionと並んで、と言うならもう一つ、高校を卒業して間もない頃に友人宅で初めて聴いて以来その不思議な音に取り付かれてしまったPentangle(ペンタングル)を挙げるべきだが、Steeleye SpanはFairport Conventionの元メンバーが中心となって結成されたというところがPentangleとは異なる。それぞれSandy Denny(サンディ・デニー)とMaddy Prior(マディ・プライアー) という実力派の女性ボーカルが入っている姉妹バンドの要素もある。

そのバンドがまさに今、バンド結成40周年記念ツアーを行っているのだ。グラスゴーから始めて各都市を回りながら南下して来るのだが、ロンドン公演が予定されている12月7日には別のコンサートに行く予定があるので、一番近い今日のオックスフォード公演に行くことにした。23.25ポンド(約3,000円)だった。

幾度もメンバーチェンジを重ね、活動休止も乗り越えて現在も現役なのだが、来日公演は一度もない。だからこのツアーをチケットウェブサイトで見つけた時は、まさに目を疑ったのだ。これは絶対に行かねばならない、と。

19時30分開演だから、17時30分から18時頃のバスで行けば楽勝だろうと考えた。オックスフォードをいつか再訪しようと思って往復8ポンドの直通バスチケットをオンラインで購入しており、今回はそれを使おうと思ったのだ。

しかし夕方からの雨が次第に本降りになって、予定が狂った。バスルートをウェブでチェックすると途中Baker Streetで停車することがわかったのでそこで乗るつもりだった。ところが15分毎にあるはずのバスが30分以上待っても来ない。道路は雨水に覆われて川のようになっている。恐らく間もなく乗れたとしても道路状況や雨による市内の渋滞を考えると大幅に到着が遅れることは避けられないだろう。

意を決して鉄道に切り替えることにした。TubeでPaddingtonまで移動し、チケットを購入。往復13.2ポンドだった。次の列車の時刻を聞くと18時51分発だとのこと。30分以上あるが待つしかしようがない。乗ってしまえばバスよりは速いはずだ。出発が遅れたり、キャンセルにならないことを念じる。

幸い予定通りに出発してちょうど1時間後の19時51分にオックスフォード駅に到着。既に5月と8月の2回歩いているので、駅から会場のNew Oxford Theatreまでの道順は暗くてもわかる。急ぎ足で歩いて、20時ちょっと過ぎに着いた。開演して30分は過ぎているがまだまだ大丈夫だろう。開演中なので指定席には行かず、後方の空席に座る。
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CDで何度も聴いた歌声が響き渡っている。ギターやドラムス等楽器の音もロックコンサートのようなかなりの音量である。遅れて来た悔しさは一瞬にして吹っ飛び、どんどんコンサートの空気に浸ることができた。

途中休憩が20分ほどあり、アイスクリーム売りが席間を回って来る。なぜかイギリスのコンサートでは必ずアイスクリームを売っている(し、皆揃って食べているのがおかしい)。
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コンサートプログラムも手に入れた 5.05ポンド この端数は何だろう?
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休憩時間にボーカルのMaddy Priorが最後尾の席まで来て座って観客に何かを配っている。その場ではわからなかったが、後で判明したのは創設メンバーの一人であり彼女の元夫であるTim Hartが癌と闘病中で、そのチャリティのようだった。しかし近くで見ると、長年写真で見て来た若い頃のほっそりした女性が今やすごい貫禄のあるおばさんになっている(声は全然変わらない張りのある昔のままなのだが)。自分も同じ年齢なので他人のことは言えないが・・・。見渡せば観客も40年前には学生や若者だったらしき人が圧倒的に多い。みんな同じように年齢を重ねて来たのだ。だから見ず知らずなのに同窓会的な雰囲気がなきにしもあらずだ。

休憩後の第2部も"Hard Times of Old England"等たっぷり名曲の数々を聴かせてもらい、結局"All Around My Hat"を含むアンコールが終わったのは22時10分。遅れて来たとは言え約2時間楽しめたので大いに満足。
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さて、ロンドンに帰らねばならないので、既に雨の上がった道をまたまた急ぎ足で駅に向かう。そして22時21分発の列車に滑り込んで23時57分にPaddingtonに到着。途中駅で長い停車等があったので往路より30分以上余計にかかった。しかし、ロンドンに帰ることさえできれば、後は深夜バスを乗り継いで帰宅できるので一安心。

こんな深夜に鉄道駅に来たことはなかったが、まだロンドンを出発する列車があるのだ。帰宅するらしい乗客がその列車へ急いでいる。本当にロンドンの公共交通機関は便利だと思う。

1時過ぎに帰宅。夕食は赤飯。


2時45分就寝。
  1. 2011/11/29(火) 12:10:07|
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Author:oldstudentinlondon
高校時代は生物研究クラブ、大学は理学部生物学科、社会人生活は製薬会社と臨床検査会社、という具合にずっと生命科学の世界にどっぷり浸りきっていたのですが、定年退職が近づくにつれて、これまでとはまったく異なる分野のことを少しでも知りたいと考え、英語、英国文化、芸術等について学ぶことを目的にシニア留学に踏み切りました。
結果として期待以上に充実した時間を送ることができました。真っ先に挙げられるのは、これまでおよそ話す機会もなかったような若い世代の友人達と親しくつき合えたこと、そしてこれまでマスコミ等を通じて間接的にしか知り得なかった国々から来た学生達と話すことを通じてそれらの国に対する自分のイメージが大きく変わったこと、です。やはり海外に住んで改めて日本を見直すということは、年齢に関わりなく極めて意味深いものだと実感しました。
なお、記事中の人名は、知人については本人の承諾を得た場合を除いて仮名を用いています。政治家、アーティスト等広く一般に知られている人については原則として実名を用いています。

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