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定年退職後ロンドンで始めた学生生活の日記

二十歳頃に計画しながら実現には至らなかった海外暮らしの夢を、長い会社員生活を終えた後ついに実行に移しました。行先は、本場の英語をもう一度学び直したかったこと、勉強以外にも滞在生活を楽しめる要素に満ちあふれていることなどからロンドンを選び、2009年4月23日から2010年3月25日までほぼ11ヵ月間滞在しました。従ってこの日記はちょうど2年前の出来事をあたかも現在進行形のように書いているものです。

2009年11月19日(木) 「ビートルズのロンドン」レクチャーに満足

7時25分起床。曇のち晴。気温14~12℃。

今日は"Art and Society"のAssignment締切日。課題は今までに訪問した美術館等の展示品からいずれか作品を選び、自分なりの分析、感想、解釈等を1000語以内にまとめること。

このクラスの現地見学を通じていくつか発見があったが、中でも建築物ではSt. Paul(セントポール大聖堂)、絵画では18世紀のイタリア人画家Canaletto(カナレット)のVenice(ベネチア)の風景が強く印象に残った。しかし、建築物の説明より絵画1点の方が簡単だと思ったので結局Canalettoの"The Basin of San Marco on Ascension Day"(キリスト昇天祭の日のサンマルコ係船地)をテーマに決めた。
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この画家はNational Galleryで初めてその作品を見るまで名前さえ知らなかったのだが、地元ベネチアの風景を描いた作品がたくさんあって、ほとんどの作品はかなり広い景色(遠景)を捉え、画面内のすべての建物や地上、船上の人物一人一人にいたるまで精密に書き込んであるところに大きな特徴がある。ある意味では生物学の顕微鏡像のスケッチのような精密さにも似ているところから目に止まったのであるが、実はよく見るとディテールの省略もかなりのものなのだ(そこが顕微鏡スケッチとは決定的に異なる)。

しかしいざ作文に取り組んでみるとなかなか字数が増えなくて困った。本当は昨日のうちに片付けておく予定だったのだが完成は今日に持ち越して、さらに今日も午前の"Art and Society"を休み、午後の"Speaking Skills"も休み、16時前にやっとのことで完成。

途中、ランチをマカロニグラタンとパンで手早く
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完成したら次はどうするのかと言うと、他のほとんどのModuleはオンラインでメールに添付して提出するのだが、このModuleはプリントアウトしたものを学内のModule専用ポストに投函することになっている。

とりあえずtubeでOxford Circusまで行って、ICCオフィスに近いWells校舎へ向かう。その時点ではまだポストの場所がよくわからないままだったが、クラスメートも当然今日提出しているはずだと気付いたので、YURIに電話して教えてもらう。すると、つい先ほど投函してきたばかりだそうで、その場所まで案内してくれるとのこと。それはたいへん助かるので、校舎の入口で待ちあわせる。

こうして、18時の締切時刻のわずか40分前に何とか投函完了。小学生の頃、夏休みの宿題を仕上げるのは決まって最終日の8月31日だったものだが、わかっていても余裕を持って片付けることができず、締切ぎりぎりまでかかるという性向は一生涯変わらないのだろうか?だろうな・・・

さて、課題完了の自分へのご褒美だけはちゃっかり用意してあった。National Portrait Galleryで開催中の"Beatles to Bowie"という写真展と本日だけの特別レクチャーである。

レクチャーは19時スタートなので、その前に写真展を見る。展示物の撮影は禁止されていて1枚も撮れなかったが、1950年代から1980年代頃までのミュージシャンやロックバンドの写真が年代ごとにレイアウトしてある。名前しか知らないバンドも写真を見ればその時代の雰囲気まで含めて既視感を覚え、YardbirdsやJohn Mayallくらいからはその頃の日本の音楽雑誌の写真で見たことがあるし、BeatlesやStones、ZepplinやCreamに至っては懐かしさにただ見とれてしまってその場を離れ難い有様。

と、しばし高校生の自分に戻ったかのような感慨に浸った後、いよいよレクチャーへ。

ステージには3人のおじさんたち
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彼らは"The Beatles' London"(ビートルズのロンドン)の共同著者なのだ
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彼らは手分けしてロンドンのビートルズに縁の地467ヵ所の現状を調べ上げ、1960年代の写真とまったく同じ位置でフレームとアングルも忠実に再現して撮った現在の写真とともに詳細な説明文を付け232ページの本を作ったのだ。地域ごとに整理されているので、今住んでいるWest Hampsteadも、通学の通り道で馴染み深いSt. John's Wood、Merylbone、Regent Park辺りもこの本を一読すればビートルズ(のメンバー)がいつごろ何をしていたのかすぐにわかる。レクチャーの後で購入者のためのサイン会があり12.99ポンド(約1,800円)で手に入れた。レコードのジャケット写真の撮影場所もわかるし、これから実際に行ってみようと思えば絶好のガイドブックだ。

かくして写真もレクチャーも存分に楽しんで大満足の夕刻であった。

夕食はレトルトカレーとサラダ
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食後、早速本を読んでいるうちに深夜になってしまった。

2時10分就寝。
  1. 2011/11/19(土) 23:03:37|
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Author:oldstudentinlondon
高校時代は生物研究クラブ、大学は理学部生物学科、社会人生活は製薬会社と臨床検査会社、という具合にずっと生命科学の世界にどっぷり浸りきっていたのですが、定年退職が近づくにつれて、これまでとはまったく異なる分野のことを少しでも知りたいと考え、英語、英国文化、芸術等について学ぶことを目的にシニア留学に踏み切りました。
結果として期待以上に充実した時間を送ることができました。真っ先に挙げられるのは、これまでおよそ話す機会もなかったような若い世代の友人達と親しくつき合えたこと、そしてこれまでマスコミ等を通じて間接的にしか知り得なかった国々から来た学生達と話すことを通じてそれらの国に対する自分のイメージが大きく変わったこと、です。やはり海外に住んで改めて日本を見直すということは、年齢に関わりなく極めて意味深いものだと実感しました。
なお、記事中の人名は、知人については本人の承諾を得た場合を除いて仮名を用いています。政治家、アーティスト等広く一般に知られている人については原則として実名を用いています。

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