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定年退職後ロンドンで始めた学生生活の日記

二十歳頃に計画しながら実現には至らなかった海外暮らしの夢を、長い会社員生活を終えた後ついに実行に移しました。行先は、本場の英語をもう一度学び直したかったこと、勉強以外にも滞在生活を楽しめる要素に満ちあふれていることなどからロンドンを選び、2009年4月23日から2010年3月25日までほぼ11ヵ月間滞在しました。従ってこの日記はちょうど2年前の出来事をあたかも現在進行形のように書いているものです。

2009年9月19日(土) ウエストハム対リバプール

7時40分起床。曇のち晴のち曇のち雨。最高気温23℃。

朝、料理に使う酢を切らしているのに気付き、隣駅前のNatural Naturalという日本食品店に買いに行こうと思った。ところが週末運休のtubeに代わって運行されているRail Replacement Bus(代替バス)の行先表示をよく確かめずに乗ってしまった。

このバスはあくまでtubeの代行サービスなので、ほとんどのバスストップは停まらずに通過しtubeの駅のあるところだけでしか乗降できないのだ。つまり、途中で間違えたことがわかっても次に停まるまでただ待つしかない。こういうときに限ってバスは満員、道路は渋滞、駅間を果てしなく遠く感じるものだ。やっと停まった駅で下車したものの全然方向違いの場所なので次はどれに乗れば良いのかさっぱりわからない。仕方ないので同じルートを元に戻ってやり直し。結局、2.98ポンドのミツカン酢1本を買うために40分くらいロスタイムが発生してしまった。

まあ、でもまだ時間は十分あるので予定通り弁当を作ることに集中しよう。メニューはこれまでに作ったことのあるものを組み合わせる。まずサーモンのグリル、と言うか鮭の切り身に塩を振ってから焼いたもの、次はポークジンジャー、和風に言えば豚肉のしょうが焼き、それからレンコンのきんぴら、最後に卵焼き、これはオムレツではなくて純和風の味付けでだし巻とも言う。弁当に入れるご飯はやはりおにぎりでないと・・・でもぶっつけ本番で作ってみるとこれに一番手こずった。ラップで包んで握る、と言っても炊きたてのご飯は熱過ぎて握れないのだ。何とか形になったかな、と思ってもラップを開くと崩れてしまう。外国産の米だからご飯の粘り気が少ないのかなあ、と思いながら、中心部に梅干または塩昆布を包んで、外側には味付け海苔またはごま塩をつけて、買っておいたパーティー用の使い捨て容器にぎっしり詰め込むことでおにぎりが崩れかけるのを辛うじて抑える。

そうこうするうちに出かける時間が来たので、328番のバスでKilburn Parkまで行く。そこからBakerloo lineとCentral lineを乗り継いでMile Endに16時23分到着。地上に出て待っているとほどなくMIYUKIがやって来た。間もなくLondonを離れることになっているそうなので、今日は最後になるかも知れない。KOHTAが帰国したことも理由ではあるが、今日は餞別のつもりでイギリスのトップリーグのサッカー(West Ham United 対 Liverpool)を見に行こうと誘ったのである。

ところがここで計算違いが発生。ここから最寄りのUpton Parkまで乗るつもりだったHammersmith & City lineが運休のため代替バスによる振替輸送になっている。ところが、その行列が半端な長さではない。こんなところで時間をロスしたくなかったので、ちょっと方針を変更し1駅先のStratfordまで移動してそこからバスに乗ることにした。

Stratfordは2012年のオリンピックに向けて再開発が進行中のため駅前はまさに工事現場のような景色になっている(ここにメイン会場ができるらしい)。現金の持ち合わせがあまりなかったので、ATMで100ポンドおろしておく。期待通りこちらはMile Endと違って行列する間もなくすぐに路線バスに乗り込むことができた。

しかし、順調に走っていたのも束の間。次第に渋滞がひどくなり、動いているより止まっている時間の方が長い有様。5月初めに同じカードのゲームを見に行った時はtubeが普通に動いていたので、最寄りのUpton Park Stationから徒歩数分のスタジアムまで全然ストレスなく行くことができた。ところが今日はtubeの運休のためにサポーター達はマイカーやバスでの移動を余儀なくされ、当然近辺の道路は車で埋め尽くされる結果となったのだ。

キックオフは17時30分。1時間以上前に落ち合ったときにはまさか間に合わないとは考えていなかったが、どうも雲行きが怪しくなって来た。他の乗客(と言っても一般のバス利用者は多分ゼロで全員がスタジアムへ向かっている模様)も窓の外を見てはイライラしているのがわかるが、渋滞ではどうすることもできない。

さらに時間は無駄に過ぎて、ついにキックオフ時刻になったとき、まだスタジアムの手前で渋滞停止中。乗客の誰かが運転手にドアを開けて下車させてくれ、と頼んだらしくバスストップではないところでドアが開いた。さすがサッカーの母国だけあって運転手もこのような場合は柔軟に対応するのだった。

急ぎ足でスタンドの自席にたどり着いたときは試合開始から10分以上が過ぎていた。本当は試合前のスタジアムの雰囲気にもいろいろと見所があったのだが残念。しかし程なく観戦に没頭した。

前半38分経過時のスコアは1対1
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右手のゴール裏はAway StandなのでLiverpoolサポーターがぎっしり これがホームゲームだとスタジアム全体が赤のユニフォームで埋まるのだが
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白いaway用ユニフォームの8番はLiverpoolのキャプテンSteven Gerrard(スティーブン ジェラード)
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左端にいるのがジェラード この後のセットプレーで見事なヘッディングによる勝ち越し点を入れた
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9番はスペイン代表のFernando Torres(フェルナンド トーレス)この日は先取点および2対2からの後半に決勝ゴールを入れた
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15番はイスラエル代表のYossi Benayoun(ヨッシ ベナユン) 玄人好み?の渋いプレーが持ち味 2年前までWest Hamに在籍 古巣対決だ
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West Hamのフリーキック こちらのゴール裏はHomeのサポーターで埋められている
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怪我で試合中断中 救急係員が道具を持って走って来る
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試合は結局二度追いつかれたLiverpoolがトーレスの決勝弾で勝利。サポーターにとってはワンサイドで勝つのも良いが、今日のように競り合いの末に振り切るのは最高である。今まで見たプレミアリーグ戦の中でもベストの試合と言って良い。

来たときの状況から考えると(観客の動きが一時に集中する)帰りはもっとたいへんな渋滞が予想されるので、終了の笛を待たずにスタジアムを後にする。と言っても同じ考えから帰り始めている人も多く、人並みに流されている間に試合終了を示す歓声が後方に聞こえて来た。

バスで逆コースを辿ってStratfordへ。ここからCentral lineで5つほどのところにMIYUKIは住んでいるので送って行く。しかし、良いゲームを見た後の余韻もまだ十分残っているし、この次にいつ会えるかもわからないので駅前で夕食ということにした。このとき先ほどおろした現金を確認するためズボンのポケットを探ったのだが、なぜか何もない。他のポケットだったかバッグに入れたのだったか、思い出そうとするが思い出せない。そもそも本当におろしたのだっただろうか?

突然立ち止まったのに気付いてMIYUKIがどうしたのか聞いて来たので現金が見当たらないと告げると、少しなら持っているから、と言われたので、まあとにかく店に入ってから探そうか、と思い直した。もう21時前だが土曜の夜ということもあってパブ兼レストランは大入り。何かのパーティもやっているようで賑やかだった。入口にMaster Card加盟店のマークがあったのでひと安心。

店内では大家族がお爺さんかお婆さんの誕生会をやっているようだった。静かに話をできるようにウェイトレスが勧めてくれた屋外のテラスに席を取る。既に半年近くロンドンで暮らして来たが、授業の最初の日からクラスメートや友人には恵まれたと思う。その昔、小学校と中学校でそれぞれ転校生経験をしたことを思い出す。誰も知らない集団の中で一人心細い思いをしているときに、いずれも初日に親しく話しかけて来てわからない点をいろいろ教えてくれるクラスメートが現れ、そのおかげでどんなに助けられたことか。今回はAMIとTAKASHIがその役回りだった。一方最初は特に親しく話すこともないが、時間の経過とともにとても気が合って常に一緒に行動するようになった友人もいる。

MIYUKIの場合は典型的な後者の例で、思い起こせばCultural ProgrammeでCambridgeに行った時がまともに話をした最初だったような気がする。同じクラスになって1ヵ月後のことだった。クラスメートの日本人の多くが現役学生だったのに対して、彼女の場合は海外での社会人経験が長いこともあって共有できる話題が圧倒的に多くて話し相手として最高なのだ。SEIさんとKOHTAがいなくなった今ではICCオフィスの深野さんが一番の話し相手だが、MIYUKIとはまた別の話題の範囲があって二人で話をしたのはまだ2、3度とは言え、いったん話しだすと切りがなくなるのが常である。

途中一時止んでいた雨がまた降り出してテラスから店内の席に移ったが、結局最後の何組かの客になって引き上げる頃には日付も変わろうとしていた。こんな時間までゆっくりしていたのは、前回食事の後で送って行った際に、既にtubeの市内行きがなくてタクシーで帰ることになったのだが、後でwebsiteでバスの時刻表をチェックすると何とこの近くを通るバスが24時間走っていることがわかり、バスをOxford Circusで乗り継げばいつでも帰れることがわかっていたからである。

良いゲームを見た後だったおかげでずっと気分も良くて、すっかりリラックスして会話を楽しんだ。10分ほど歩いて送り届け、元来た方に戻ってさらにバス停に向かう。雨は降り続いているが、深夜でも15分ごとにバスがあるのでそれほど待つこともなく無事乗車。乗客ゼロではないものの1人か2人が乗って来たり降りたりが続く。それでもきちんと走らせているのはまさに公共交通の鑑、あるべき姿だと思う。

1時30分帰宅。実に長い一日だった。

2時15分就寝。
  1. 2011/09/19(月) 23:40:54|
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Author:oldstudentinlondon
高校時代は生物研究クラブ、大学は理学部生物学科、社会人生活は製薬会社と臨床検査会社、という具合にずっと生命科学の世界にどっぷり浸りきっていたのですが、定年退職が近づくにつれて、これまでとはまったく異なる分野のことを少しでも知りたいと考え、英語、英国文化、芸術等について学ぶことを目的にシニア留学に踏み切りました。
結果として期待以上に充実した時間を送ることができました。真っ先に挙げられるのは、これまでおよそ話す機会もなかったような若い世代の友人達と親しくつき合えたこと、そしてこれまでマスコミ等を通じて間接的にしか知り得なかった国々から来た学生達と話すことを通じてそれらの国に対する自分のイメージが大きく変わったこと、です。やはり海外に住んで改めて日本を見直すということは、年齢に関わりなく極めて意味深いものだと実感しました。
なお、記事中の人名は、知人については本人の承諾を得た場合を除いて仮名を用いています。政治家、アーティスト等広く一般に知られている人については原則として実名を用いています。

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