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定年退職後ロンドンで始めた学生生活の日記

二十歳頃に計画しながら実現には至らなかった海外暮らしの夢を、長い会社員生活を終えた後ついに実行に移しました。行先は、本場の英語をもう一度学び直したかったこと、勉強以外にも滞在生活を楽しめる要素に満ちあふれていることなどからロンドンを選び、2009年4月23日から2010年3月25日までほぼ11ヵ月間滞在しました。従ってこの日記はちょうど2年前の出来事をあたかも現在進行形のように書いているものです。

2009年8月12日(水) ロンドンに飽きた人は?

6時30分起床。晴のち曇時々雨。最高気温23℃。

今日の授業の題材はポーランド出身のPawel Pawlikowski監督の"Last Resort"。これは彼がテレビドキュメンタリーから映画制作に転身を図った直後のデビュー作(2000年)で、彼自身の亡命経験が反映されていると思われる非常にシリアスなドラマである。

授業は毎日9時~12時15分の3時間強なので全編を通して鑑賞するとそれだけで大半の時間を使ってしまうことになるため、作品の冒頭の10分間とか途中の10分間を区切って見た後、その部分のカメラワークや人物描写について自由に意見を述べる形で進められ、最終的にストーリー全体はわからないまま、ということも起こり得る。本作品もミステリアスな導入部とその後の展開の意外性で惹き付けて行くためどういったエンディングなのか興味深いが、結局結末は見ずじまいに終わった。

カメラワークではExtremely Long Shot(超望遠)からLong Shot(望遠)、Medium Shot(望遠と広角の中間)とつないでClose Up(クローズアップ)に至るまでハイテンポで緊張感を高めて行く手法が採用されていること、人物描写では移民局係官とのやり取りや入国保留者一時収容施設でのさまざまな人物との会話を通じて主人公の女性がどういう事情で祖国を離れ、これからどうしようとしているのかを観客に想像させようとするミステリー仕立てのところが分析の対象となった。

さらにもう一つの課題作品として"Hollywood"というアクション映画?の冒頭シーンを鑑賞。こちらは日本の民放テレビの映画番組でも好んで取り上げられそうな作品で(つまり深く考えさせようとするような作品ではなく)、ギャング、殺人、銀行強盗と言ったキーワードで探せば真っ先に出て来るようなタイプのものだった。こちらも主として遠景カットから人物のクローズアップに至るカメラワークによるテンポや緊張感の作り方が学習のテーマであった。

このような分析を続けて行けば映画制作や映画批評に携わるための基礎くらいは習得できるかも知れない。もちろん短期のサマーコースではそこまでの成果を求めることはできないが、10月開始のModule(学部授業)ではこういったコースを選択することも面白い、と思わせるのに十分だ。

ランチは学食でVegetable Pasta 3.35ポンド。

13時からのLunch time Lecture "Literary London"の講義に続いて同じテーマのWalking Tourに参加。

Charles Dickens作品に関わる骨董品の店
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婦人参政権を主張したWomen's Social and Political Union(婦人社会政治連盟)本部があった場所
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Samuel Johnson(サミュエル ジョンソン)はシェークスピア研究者にして辞書編纂者
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サミュエル ジョンソンの家
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彼の残した最も有名な言葉「ロンドンに飽きた人は人生に飽きた人である」→同感!
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日本でも有名な紅茶の専門店
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300年以上の歴史を持つのだ
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1667年と言えば日本では徳川第4代将軍家綱のころに"改築"されたチーズ店
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チーズの隣にはワイン通もある
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St. Bride's Church(セントブライズ教会)
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キリスト像が刻まれたステンドグラス
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エリザベスII世像
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像の説明
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バスの窓越しに見えたKing's College(キングスカレッジ)ここにはCambridge大学とともにDNAの構造発見に大きな寄与をした研究室がある
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これもバスから見えたSimpson's 観光客にもよく知られたローストビーフで有名なレストラン しかしゆっくり味わいたいのなら他をお勧めする
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夕食はパーティの天ぷらで余ったエビをオイル焼きにしてみた これもまた美味
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こちらも大量に作って冷凍保存しておいたポテトケーキ(茹でてつぶしたポテトに炒めた玉ねぎと牛ミンチをよく混ぜて丸め、両面を焼く)
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23時20分就寝。
  1. 2011/08/15(月) 01:20:21|
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Author:oldstudentinlondon
高校時代は生物研究クラブ、大学は理学部生物学科、社会人生活は製薬会社と臨床検査会社、という具合にずっと生命科学の世界にどっぷり浸りきっていたのですが、定年退職が近づくにつれて、これまでとはまったく異なる分野のことを少しでも知りたいと考え、英語、英国文化、芸術等について学ぶことを目的にシニア留学に踏み切りました。
結果として期待以上に充実した時間を送ることができました。真っ先に挙げられるのは、これまでおよそ話す機会もなかったような若い世代の友人達と親しくつき合えたこと、そしてこれまでマスコミ等を通じて間接的にしか知り得なかった国々から来た学生達と話すことを通じてそれらの国に対する自分のイメージが大きく変わったこと、です。やはり海外に住んで改めて日本を見直すということは、年齢に関わりなく極めて意味深いものだと実感しました。
なお、記事中の人名は、知人については本人の承諾を得た場合を除いて仮名を用いています。政治家、アーティスト等広く一般に知られている人については原則として実名を用いています。

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