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定年退職後ロンドンで始めた学生生活の日記

二十歳頃に計画しながら実現には至らなかった海外暮らしの夢を、長い会社員生活を終えた後ついに実行に移しました。行先は、本場の英語をもう一度学び直したかったこと、勉強以外にも滞在生活を楽しめる要素に満ちあふれていることなどからロンドンを選び、2009年4月23日から2010年3月25日までほぼ11ヵ月間滞在しました。従ってこの日記はちょうど2年前の出来事をあたかも現在進行形のように書いているものです。

2009年8月11日(火) 小津安二郎監督

6時30分起床。曇のち晴のち快晴。最高気温25℃。

今朝は幸い気分が元通り普通の状態に戻っていた。

今日の授業で取り上げられた映画は何と"Tokyo Story"。個人的にも好きな監督である小津安二郎の1953年の作品「東京物語」である。小津作品には必須のキャストである笠智衆と東山千栄子の扮する夫婦が東京にいる息子達の家庭を訪問するという小津監督晩年の代表作の一つである。

ロンドンで英国映画について学習しているときに急に日本のしかも半世紀以上前の映画が題材に出て来るとは想像していなかった。邦画を英語の字幕付きで見るというのもへんな感じではあるが、15日間という限られた授業で取り上げられるというのは、それだけインターナショナルな評価が確立されていることの反映だからとても誇らしい気分でもあった。

世界中の映画監督の中に小津ファンがいることは知っていたが、とりわけ英国人にとっては内向的な性格や感情をはっきり表に出さないところ等が似ている日本人のストーリー構成は感覚的にも受け入れやすいのかも知れない。
感情の起伏が大きいラテン系ヨーロッパ人にとってはゆっくりした動きと無表情に代表される東洋的エキゾチズムの印象の方が勝っているかも知れないが・・・。西洋人の観客にとっては、いつまで経っても何も起こらない退屈なストーリーという評価をする向きもあるらしいが、少なくともこのクラスの学生にとってはたいへん興味深い作品と映ったようである。

講師の解説でも小津作品の位置づけとしてハリウッド映画の対極として紹介されていた(単純な比較が本当に的確かどうかはともかく、授業を進めるための題材としてはそういうことで選ばれたのだと思う。同じ日本の監督でも黒澤明の作り方は逆にいたってハリウッド的であるが・・・)
技術面からも、動きが少なくローアングルを基本とするカメラワークは小津を特徴づける一つの型である。

今日はこの作品の母国民としての誇りを持って意見を述べることができた(日本人に聞かせたら陳腐な意見にしか聞こえないかも知れないが)。

ランチは学食でOrange Beef(煮込み?)3.35ポンド。

今日のWalking Tourのテーマは"Load Mayor and Guild Hall Art Gallery(ロンドン市長とギルドホール美術館)"。

王立証券取引所
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通信社の創業者ロイターの像
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銀行家ジョージ・ピーボディの像
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ゴールドバー(金の延べ棒)1本の時価は230,030ポンド(約3,200万円)
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一人ずつ実際に持ってその重さを体験できる人気アトラクション→これ1本で家が買えるかも?
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ギルドホール(市庁舎)
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受付への通路
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フィートとヤードの標準原器
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メートル原器
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チャーチル像
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Tour終了後、サッカーのチケットを買いにTROCADEROのチケットショップへ。一つはTottenham HotspursのホームWhite Hart LaneでのLiverpool戦、もう一つは間もなく日本へ帰るSEIさんから帰国前の記念にと頼まれたEmirates StadiumでのArsenal vs Portsmouth戦。

こちらでのチケット購入の仕組みは申込時に全額を現金で払い、試合当日の指定された時間に取りに来るというものである。客にとっては面倒だが、多分ブローカーネットワークで直前まで融通し合って最後に現物を引き渡すためなのだろう。両試合ともビッグクラブが絡んだ対戦のためプレミアムがついた価格は1枚100ポンド。Face Value(額面価格)は30~40ポンドだから、安くはないが無茶苦茶ボラれている感じはしない。

イングランドのトップリーグの試合のチケットは大半がそのファンクラブ内で需給が完結することが多く、一般発売として市場に出回る枚数は極めて少ない(またはまったくない)からである。これまでも旅行で英国に来る時は事前に日本のチケット専門業者に依頼することが多かったが、ビッグクラブ絡みのチケットだと手数料込みで1枚2~3万円はかかるのが普通だからである。

夕食はほうれん草、玉ねぎ、ベーコンを炒めたもの。簡単に作れるわりにはなかなか美味しいのだ。
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00時00分就寝。
  1. 2011/08/14(日) 14:46:21|
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Author:oldstudentinlondon
高校時代は生物研究クラブ、大学は理学部生物学科、社会人生活は製薬会社と臨床検査会社、という具合にずっと生命科学の世界にどっぷり浸りきっていたのですが、定年退職が近づくにつれて、これまでとはまったく異なる分野のことを少しでも知りたいと考え、英語、英国文化、芸術等について学ぶことを目的にシニア留学に踏み切りました。
結果として期待以上に充実した時間を送ることができました。真っ先に挙げられるのは、これまでおよそ話す機会もなかったような若い世代の友人達と親しくつき合えたこと、そしてこれまでマスコミ等を通じて間接的にしか知り得なかった国々から来た学生達と話すことを通じてそれらの国に対する自分のイメージが大きく変わったこと、です。やはり海外に住んで改めて日本を見直すということは、年齢に関わりなく極めて意味深いものだと実感しました。
なお、記事中の人名は、知人については本人の承諾を得た場合を除いて仮名を用いています。政治家、アーティスト等広く一般に知られている人については原則として実名を用いています。

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